【現代の子供達の抱える問題】
一昔前の高度経済成長時期頃までは、多くの地域で街角に子供が溢れており、子供たち自身の社会を構成していました。是非は兎も角として、大人の目の届かないところで、子供なりに危険にチャレンジし、社会における自分の関わり方を学び、自身の安全に対する嗅覚を発達させておりました。上の子が下のこの面倒を見る、下の子はそれに対して敬意を持って接し学ぶということが自然に行われておりました。近年少子化によって、子供たち自身の判断でそれらを成し遂げるということが、環境的に非常に困難な状況になっております。そして昔から代々受け継がれてきた伝承が途切れつつあります。
その結果、現在の子供たちは平均して、コミュニケーションをとることが苦手、自分自身の判断で物事に立ち向かうことが苦手になりつつあります。指示を受けて行動することが出来る反面、指示がなく、他者が用意した環境がない場合、自分でも何をやりたいのかわからないということが増えております。
また、何が安全で何が危険であるかといった判断能力が、昔に比べ低下しています。肉体的な危険に対する認識もそうですが、精神的なそれに対する感覚も低下しており、対人関係構築が苦手な子供が増えてきつつあるのは周知の事実です。
また地域に子供が減ったり、習い事で忙しい子供が増えた結果、近所で一緒に遊べる子が少なくなり、一人遊びをせざるを得ない状況が多く生まれてきております。それによって長時間のテレビ視聴やビデオゲームに、はまる子が少なくありません。困ったことにそれらは特に男の子たちの攻撃衝動を満足させ、バーチャルリアリティ(仮想現実)の世界に引き込んでしまいます。これらリセットが利く世界では我慢することを覚えず、他人の心の痛みがわかりません。特にこのことによって人格成長を阻害された若者が、引き起こした猟奇的事件がマスコミを賑わすことは、最近悲しいことにしばしば耳にするところです。
冒険(アドベンチャー)教育は、野外における冒険的な活動にチャレンジすることによって、達成感や充実感を味合うことを通じて新しい自分を発見したり、潜在していた自らの能力・可能性に気づくとともに、自分自身に対する意識を向上させ、人間形成を図ること目的にしています。